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クラウドとは何か

photo by torkildr

「ビジネスのデータ分析にクラウドを使う」「クラウド上で書類を管理」「クラウドでコスト削減」...などなど、昨今はクラウドという言葉をあちこちで耳にします。ですが、野村総合研究所からクラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まったという本が出版されたのは2009年、この記事を私が書いている2014年から見て、もうすでに5年前です。流行り言葉にしては随分と長く使われている気がしますね。

この「クラウド」という言葉、実はただの横文字の流行り言葉ではなく、ビジネスの重要な部分に関わってくるキーワードなのです。クラウドを理解するかしないかで、企業や個人の情報活用は大きく変わってきます。しかし、クラウドは曖昧な理解のままだと何にも使えません。それこそウェブ2.0だとかビッグデータとかHTML5と同じで、用語に振り回されていては情報活用どころか混乱を招くだけです。

本記事では、この重要だけどもよくわからないクラウドという言葉について、簡単に、そして丁寧に説明します。

目次

クラウドコンピューティング

photo by Pam_Broviak

情報活用の文脈から唱えられるクラウドとは、クラウドコンピューティングのことです。まずは一般的な説明として、Wikipediaを見てみましょう。

クラウドコンピューティング(英: cloud computing、または単にクラウドとも)とは、ネットワーク、特にインターネットをベースとしたコンピュータ資源の利用形態である。ユーザーは、コンピュータによる処理やデータの格納(まとめて計算資源という)をネットワーク経由で、サービスとして利用する。

さて、これで理解できたでしょうか。これだけの説明では、まだふわふわした状態ではないでしょうか。

Wikipediaからの引用で最も大事な部分を挙げるなら、ネットワーク経由という部分、そしてサービスとしてという部分です。

ネットワーク経由

ネットワーク経由でコンピュータによる処理を行うというのは簡単に言うと、遠隔操作のようなものです。企業としては柔軟なサーバーインフラを利用できる、個人としてはEvernoteのようなオンラインで使えるメモ帳アプリを利用できる、といったことが可能になります。実際にデータが格納されたハードウェアを所有していなくても、そこにアクセスすることで利用することができて、なおかつ自身は身軽でいられる、というのがクラウドの大きなメリットです。

サービスとして

クラウドサービスとして提供されているものは、料金体系や使い方がとてもわかりやすくなっています。サービスの提供主が定めたプランが何種類もあり、それを選ぶ、というプロセスでクラウドを導入することができます。これは企業向けのものでも個人向けのものでも、利便性がとても高く設計されています。

企業から見たクラウド

さて、このままでは抽象的な説明ばかりで眠くなってきてしまいます。具体的な例を考えていましょう。

回転寿司屋チェーンが、寿司の皿にICタグをつけて、そのデータからお客さんがどのように回転寿司を楽しんでくれているのかを知ろうとします。チェーン店なので、全国に何百店舗もあり、データはエクセルの表で管理できるようなものには収まりません。解析にはハイスペックなコンピュータが必要にもなります。

クラウドサービスが無い世界では、このような場合に寿司屋自身がコンピュータを購入するしかありません。もしくは、システムの開発会社が購入することになるかもしれません。しかし、これはよくよく考えたらおかしなことです。回転寿司屋はよりよいサービスのためにお客さんの嗜好が知りたい、開発会社はそのためのソフトウェアを提供したい、というのがこの案件の本質です。サーバーの運用は、回転寿司屋も開発会社も、得意分野ではないのです。

そこで、サーバー運用のノウハウが蓄積されていて、確かな実績があり、なおかつそれを分かりやすいプラン、求めやすい価格で提供するパートナーがいてくれたらどんなにいいことでしょう。これがクラウドサービスです。

実は上の例は、実際にあったものです。大手回転寿司チェーンのスシローは、店舗でのデータ活用にクラウドを利用して売り上げを伸ばした成功例です。これには上で述べたように3者のステークホルダーがいました。スシロー(回転寿司屋)、アシスト(システム開発会社)、Amazonクラウドサービス事業者)です。開発会社は、Amazonが提供するAWSというクラウドサービスを利用して、その基盤の上にデータ解析のためのアプリケーションを構築しました。

個人から見たクラウド

photo by Leif (Bryne)

クラウドはビジネスだけの話ではありません。

大学生がプレゼンテーションのためのスライドを作るケースを考えてみます。クラウドサービスが無ければ、学生はUSBを持ち歩き、学校のパソコンで作業してはUSBに保存、持ち帰って自分のパソコンで作業、保存、...というプロセスで作っていくことでしょう。問題は、USBを無くしたらどうするのでしょう。「USBを2つ使う」「無くさないように普段から気をつける」など、工夫はできるのかもしれませんが、あまりスマートではありません。

作ったものを保存すると、どこかのサーバーに保存されて、自分のアカウント情報でログインすればそれにアクセスすることができる、というサービスがあったらどうでしょう。これが個人向けのクラウドサービスです。DropboxGoogle DocsEvernoteなどが挙げられます。USBの場合はデータがそこにあることを把握しているわけですが、クラウドサービスを使うとそういったことを意識する必要もなくなります。アカウント情報さえ忘れなければ、いつでも情報を取得、追加できる魔法の引き出しが手に入るのです。

まとめ

本記事ではクラウドサービスを簡潔に説明し、企業・個人からクラウドサービスを見てみました。冒頭で説明したように、データが格納されたハードウェアを所有する代わりに、クラウドサービスにアクセスすることでデータやアプリケーションを利用することができて、なおかつ自身は身軽でいられる、というのがクラウドの大きなメリットです。

誤解を恐れずに私の意見を述べると、クラウドサービスの本質はインターネットの仕組みを利用した分業です。規模の経済が働き、巨大なIT企業は安定したITインフラを安価に提供することができます。AmazonGoogleのサービスは今後も成長していくでしょう。

こういったクラウドサービスによる可能性はここには書ききれないほどあります。ビジネスのスピードが加速していく、個人がより力を持てる時代になる、情報技術というものが一般の人により見えにくくなる...などなど。

情報を扱う仕事をしているのであれば、IT業界における分業と専門化に目を向け、国内にとどまらず業界全体を見渡す視野を得ることはとても心強い武器になるでしょう。クラウドはそういった視野を得るために、とても重要な概念なのです。

クラウド化する世界

クラウド化する世界

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HTML5入門者がまず知っておきたい基礎知識まとめ

ビッグデータ」ほどではありませんが、それなりに流行り言葉となったHTML5。すでにW3Cで策定は完了し、今年2014年の勧告を予定しています。しかし、実際のところこの技術のことがわかっていない。これが何なのかなんて今さら聞けない...というウェブ担当者はけっこういるのではないでしょうか。今回はそんな何も知らない入門者向けに、このHTML5という技術についてまとめました。

HTML5とは何か?


HTML5(エイチティーエムエル・ファイブ)とは HTML の 5 回目に当たる大幅な改定版である。
» HTML5 - Wikipedia

何も知らない人にまず説明するのであれば、「HTMLとはウェブページを記述するための言語であり、HTML5はその言語のバージョン5」といったところでしょう。しかし策定前からこれだけ騒がれて来たのには、それなりに理由があります。それまでのHTMLと大きく違いがあるのです。

広義なHTML5と狭義なHTML5

HTML5は、狭義なHTML5と広義なHTML5とで区別する必要があります。というのも、狭義なHTML5マークアップ言語、広義なHTML5CanvasSVGといった技術を利用するためのAPIを含めたものであり、「単にHTML5とは...」と話し出そうにも、どちらを対象に話をするのかで内容が変わってくるためです。

何が「HTML5」であるか - hogehoge @teramako

狭義のHTML5

マークアップ言語としてのHTML5を見た時、それまでのHTMLと変わったところは、ずばりセマンティックになったことでしょう。セマンティックとは「意味づけされた」という意味で、セマンティックHTMLとは意味づけされたHTMLということになります。今までdivタグでマークアップしてきたようなものにも専用のタグを提供し、しっかりと意味づけをして、検索エンジンやプログラムからわかりやすいHTMLにしていくのです。具体的には、以下のスライドが参考になります。

HTML5でセマンティックなマークアップ

広義のHTML5

流行り言葉としてHTML5という単語が使われる場合は、広義のHTML5を指していることが多いです。ここはWikipediaから引用します。


厳密には別仕様書として分離されているものの、一般的には、Web Storage・WebSocket・Geolocation APIXMLHttpRequest Level 2などもHTML5に含める場合が多い。
W3CHTML5 Logo では以下のカテゴリを HTML5 に含めている。
  • セマンティックス - HTML5の新タグ、RDFa、マイクロデータ、マイクロフォーマット
  • オフラインとストレージ - App Cache、Web Storage、Indexed Database API、File API
  • デバイスアクセス - Geolocation API、マイク・カメラ、アドレス帳・カレンダー、端末の向き
  • 接続性 - WebSocket、Server-Sent Events
  • マルチメディア - audio, video要素
  • 3D、グラフィックス、エフェクト - SVGcanvas要素、WebGL、CSS3 3D
  • パフォーマンスと統合 - Web WorkersXMLHttpRequest Level 2
  • CSS3 - WOFFも含む
これらのAPIによって、HTML5で実装されたウェブアプリは、よりネイティブアプリに近づくのです。

ビジネス視点から語られるHTML5

このHTML5、「W3Cの仕様が変わって、ブラウザも進化して、便利になるんだね」では終わりません。技術者内だけでなく、ビジネス面から語られることがずいぶんあるのです。


例えば、グーグルのChrome OSでは、もはやブラウザーとOSの境界線が消えている。つまりインターネットに接続していようといまいと、全ての情報処理はブラウザー上で行われる。別の言い方をすれば、これからのブラウザーとは事実上、「インターネットとの親和性が高いOS」を意味するようになる。それはIT産業におけるマイクロソフト支配の終焉を意味するが、これこそHTML5を推進するグーグルが心に秘めた野望であり、将来のビジョンなのである。
» 今話題のHTML5とは何か? 世界的企業が次々導入する理由(P2) 日経トレンディネット

普通、PCを買う際に「WindowsがいいかMacがいいか(はたまた自作PCLinuxか)」と考えますが、これからはブラウザであるChromeがその選択肢の1つになる。それがHTML5による変化であり、Googleの狙うところなのだ!という話です。

もっとざっくり言うと、「データはクラウドに置き、ブラウザをOSとして使う」時代がHTML5によって到来しようとしているということです。実際には、すべてHTML5の功績だ!とはいえないのですが、少なくともそういう流れのきっかけにはなっており、全部ひっくるめて言うときに便利なのでHTML5という流行り言葉が使われている、と捉えることもできます。

まとめ

  • 広義なHTML5と狭義なHTML5では意味が違う
  • マークアップする際にちゃんと意味付けしていこうぜという流れがHTML5のタグには反映されている
  • ウェブ周りの2011年ごろからの凄い進化をぜんぶひっくるめてHTML5と言うケースもある

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